
入学おめでとうございます。服屋、衣料品店、何ていうんだったか、おじさんのジャケットや帽子、夏だとポロシャツが売っているような店の立て看板にそう書いてあって、近隣の中学高校の名前が並んでいる。制服のオーダー受付。息子は2年生なので中学まであと4年。高校まではあと7年。中学校の名前リストをみて、少なくとも4年は今の仕事を続けないとな、4年くらいならなんとかなるか、なんて思う。
駅に続く道の五叉路で信号待ち。どこで昼飯を食べるか考えながら待つと青になる。ネパール料理、カジャセットだ。と、せっかく青になった交差点を渡らず少し手前に戻るように左の道へ。太陽の光が反射してやや見にくいが、大きな窓ガラス越しに店内を伺うと、客はいなそう。カジャセットは調理時間が掛かるので、客がいない時にしか注文しない。カジャセットを食べるかどうかはこの窓ガラスで決まる。
入店。窓の死角になるテーブル席に女性客が1人いたが、すでに料理は運ばれている。ホールのスタッフがいつもとは違う。好きな席、窓際の席に座って座って水が運ばれてきたタイミングで注文。ビールも一緒に。辛さを聞かれなかったので新人なのだろう。カジャセットにも辛さはある。
この席に座ったのは、外から、ビルと郵便局の隙間から光が差して、二等辺三角形の方の三角定規くらいの形でテーブルに落ちていたから。小瓶からビールを注いだグラスをその三角形の手前に置くと、イメージ通り、いい。窓際に小さな羊のキャラクターの置物が2つ置かれているのに気付いた。冬の日差しはあっという間で、瓶に少し残ったビールがあって、それが入るくらいに口をつけたグラスに、その残りを注ぐ頃にはもうテーブルの光は無くなっていた。その代わり、外を眺めると路駐した車のボンネットに太陽が反射して、ちょうど眩しい。光を受けた目にモヤが残る。
運ばれてきたカジャセットは一目でシェフが違うことがわかった。人参ときゅうりで作られたハート型の飾りが二つづつ添えられているのがいつもだが、今日のカジャセットは楕円形のきゅうりが2枚横並びで添えられているだけ。ジャガイモの切り方も縦に長い。きゅうりの棘が全くない。味付けは全体的にまろやか。これは前任と近い気がする。カジャセットを通じて把握してる限り、3人はいる。
外を眺めると太陽の光を反射していたボンネットを持つ車は移動していて、車で遮られていた宝くじ売り場が見えた。